社会起業として



Mom’s Zoneのミッション

●育児中のママたち
少し子供から離れて自分の時間をもつことで、精神的身体的に、
より健全な親子関係をつくります。

●子供たち
預かるお子さんの健やかな成長を見守ります。
親以外の大人や、異年齢の子どもたちと混ざって遊ぶことにより、
社会性を身につける場を提供します。

●保育士・保育ボランティア
子供が好きで、できるだけ子供と関わっていきたい人たちに、
社会貢献の場を提供します。
これから幼児教育に携わる学生に、実地保育の場を提供します。

●みなさま
質の高いレッスンを通じて、みなさまの自分磨きの場所として、可能性をひろげるお手伝いをします。

Mom’s Zoneは社会起業です。
社会起業―あまり聞きなれない言葉かと思います。
英語ではコミュニティビジネス、またはソーシャルベンチャーと言います。
社会起業とは、地域で困っていること、地域が抱える社会問題を、地域の誰かが事業を起こして解決することです。
NPOは同じく社会貢献的要素が強いですが、社会起業はそこにもう少しビジネス要素が加わります。
社会起業は1980年代にイギリスで始まりました。
世界的に有名な社会起業はバンクラディッシュの「グラミン銀行」。貧しい人々が自立のために商売を始められるよう、無担保で数十ドル程度のお金を貸し付けるシステム「マイクロクレジット」を作り上げました。
日本ではフローレンス。「子育てと仕事を両立できる社会の実現。それを妨げる病児保育問題を解決する」となっています。
社会を変えるのは政治家や官僚、大企業だけではありません。
「気づいた人間」が事業を起こし、既存の仕組みにはなかった発想を形にし、社会的イノベーションを起こすことを目指しています。

Mom’s Zoneの場合は私吉谷が個人的に困ったことを解決したいために始まりました。
専業主婦で子育て中のママたちは、社会とのつながりが薄くなります。
出産前まで社会で頑張って働いていた人たちはなおさらそのギャップに戸惑います。
2004年Mom’s Zoneを始めた頃は子供を預けてママたちが趣味や勉強をすることは、あまり一般的ではありませんでした。
保育園に一時保育を頼んでも、冠婚葬祭時かママが病気の時しか預かってくれませんでした。ママのリフレッシュや勉強のために子供を預けるのは「もっての他」という風潮でした。
私自身も子育てにいっぱいいっぱいで、子供を怒らなくてもいいところで怒ってみたり、イライラしたりもしばしばありました。
実家が近かったり、夫の理解が得やすいママは、リフレッシュのため子供をみてもらうことが出来ます。
私は幸い実家も近く、夫も理解ありましたので、土日などは子供3人みてもらって自由な時間をもらうことができました。
ですが、そんな人ばかりでないのが実情です。
身近に子育てを助けてくれる人がいるか、いないかで、ママの子育て事情は天と地ほどの開きがあります。
私は、子育てを助けてくれる人がいないママたちはどうしているのだろう?不公平感が強いのではないか、と大きな疑問を持ちました。
そこで、育児の当事者である私自身が、育児中のママが1週間に1回でも子供を廉価で預けて、自分のための時間を作り、リフレッシュしたり、体を整えたり、趣味勉強を続ける場所を提供したいと思いました。
それが、精神的にも肉体的にも健全な親子関係が築ける一助になると確信したからです。
その時、私の子供は7,5,3歳でした。

市役所の起業相談に行ったところ、「この事業は一般的な商売ではなく、コミュニティビジネスの範疇に入るから、兵庫県コミュニティビジネス離陸応援事業認定(コンペ形式)に応募してみたらどうか。」という助言をもらいました。
そこで開業1年前の2003年、そのコンペに応募してみたところ、兵庫県南地区1位で認定いただけることになりました。

私はそれ以来、Mom’s Zoneを社会的起業と位置づけ、講師、保育士、保育ボランティアと一緒になって、社会的に育児中のママをサポートする事業として日々精進しています。

兵庫県コミュニティビジネス離陸応援事業認定コンペの審査員の方から「社会的起業を考える人はボランティア精神が強い。起業するのは簡単。しかし、事業として継続するのは難しい。その鍵となるのは”Warm heart Cool head(温かい心としっかりした収支計算)”。それを忘れないで。」と言われました。

それは社会的起業に限らず、どんなビジネスにも必要な鍵です。

私はこの事業を2004年から14年継続してきました。
これからも温かい心で育児中のママたちに寄り添い、有資格保育士、保育ボランティアさん、講師陣と手を取り合って、事業を継続できるよう努めていきます。